七月三十日

ようやく思い立ち、植繁で朝顔の苗を購入。「ついにその気になったかい」と親方にひやかされつつ、黄蝉葉系を中心に色々と物色。縁側ではご隠居がステテコ 姿で、素麺とトマトで直しかなんかをやっている。いかにも涼しげだ。このご隠居さんとは将棋仲間であって、今日も縁側対局とあいなった。「こっちばっかり 酔ってるんじゃ具合が悪い。第一、フェアー(どういうわけかこの時ご隠居は語尾を過度にのばす)じゃねぇや。おい、先生(恥ずかしながら私、ここではこう 呼ばれているのだ)にも一杯持ってきてくんな」。奥さんが焼酎と氷を持ってきてくれる。谷中生姜に自家製の味噌、ガラス皿のさらしタマネギには、卵の黄身 が落としてある。縁側の奥に猫が寝そべり、そよと風が吹いて風鈴が鳴る。プールから帰ってきた子ども達が奥さんにカキ氷をねだっている。こういうのを天国 と言う。朝顔は忘れた。